それから、モグモグと一心不乱におにぎりにかぶりつく私を隣に乗せ、南様は車を走らせた
普通、逆の立ち位置になるんだろうけど空腹で頭が回らなかった
「そういえば、瀬川さんはどうしてプランナーになったの?」
赤信号で止まった車の中で、唐突に南様が話し出した
その言葉を聞いて、口に入っていたおにぎりを急いで吞み込む
「あ...えっと。私の兄のお嫁さんが、今の式場で昔働いていて、それで紹介してもらったんです」
「あ、そうなんだ。てっきり昔からなりたかったんだと思ってた」
「あはは。そうですよね..私自身も、まさか自分がウエディングプランナーになるとは思っていなかったです」
なんだか不甲斐ない自分が恥ずかしくて、ヘラヘラ笑いながら言葉を落とす
私の周りでは、みんなやりたい仕事を見つけて一生懸命頑張っていたのに
私は結局どこにも就職が決まらなくて、流されるがままに、この仕事に就いた
「本当、私昔っからドジでバカで..いつもみんなに助けてもらってばっかりなんです」
いつも、自分1人じゃ何もできなくて
失敗ばっかりで
何をしても続かなかった
「取り柄の1つでもあれば、少しは変わってたんですかね」
もっと容量良く
器用に何でもこなせたら
私の人生も、何か変わっていたのかな



