太陽と月



バンっと、ご丁寧にも私の座席のドアを閉めてくれた南様

初めて嗅ぐ香水の香りと、座り慣れない車の座席が私の心を緊張させる




「家、どこだっけ?」




遅れて入ってきた南様が、優しく微笑んで聞いてくる

だけど、言っていいものかどうか一瞬迷ってしまった

すると




「あ、そうだ。これ、好きなの取って」




そんな私の返事を聞く事もなく、思い出した様に後部座席から見慣れたコンビニの袋を取り出した南様

こんもりと膨れ上がっている袋を見て、一気に空腹がMAXになった




「南様も、いつもこんなに食べるんですか?」




遠慮なくガサガサと袋の中を品定めしながらそう言う私を見て、南様がクスクス笑いだす

その笑い声に不思議に思って、顔を上げると




「瀬川さん、よく鈍いって言われない?」

「え?」

「いや、いい。で? どこに向かえばいい?」




ハンドルに体を預けて、クスクスと笑いながら私を見る南様

ポカンと口を開ける私を見て、ゆっくりと目を細めた