太陽と月




「みんな...上手に歩いていますよね」




そんな光景を見ながら、ボソリと呟く

なんだか、自分がとても滑稽に見えて




「当たり前の事なんですけど、誰にでもできる事なんですけど、どうして...私にはできないんでしょうね」

「――」

「真っ直ぐ歩く事すらできなくて、躓いてばっかり」




みんな上手に真っ直ぐ歩いているのに

私は転んでばっかり

前に進む事すらできない



上手に恋する事も

生きる事も―――できない





「――そう見えてるだけだろ」



すると、どこか低くて甘い声が世界に響く

隣を見ると、変わらず前を向いたまま足を組んでいる支配人がいた