太陽と月



まるで幻影だったと思えるくらい、かっこいい支配人さんに挨拶を終え

その後、その星野さんの提案で大西主任にこの式場を案内してもらう事になった







「――驚いたでしょ?」



大理石のロビーに出た所で、不意に大西主任が振り返って、そう言う



「え?」

「うちの支配人。だいたいの子は、あぁいう反応になる」



そう言って、悪戯っ子の様に笑った大西主任

大きな猫目が微かに垂れる



「はい...驚きました。一瞬どこかの俳優さんかと」

「俺も初めて見た時は言葉を失ったよ。男から見ても星野支配人はかっこいいからね」



コツコツと大理石を鳴らしながら、歩く大西主任

その喋り方といい、立ち振る舞いは、今まで一緒に過ごしてきた男友達とは愕然と違っていて、大人の雰囲気を醸し出している



初めて飛び込んだ、社会という名の世界

学校に守られていた学生の頃とは全く違う


社会人の人って、やっぱり雰囲気というかすべてが洗礼されている

学生の雰囲気がまだ取れない私とは、すべてが違う



そう思った瞬間、ここ最近胸の中に芽生えていた不安が再び芽を出した