太陽と月


思わず息を詰めて、目の前の女性を見つめる

太鼓の様に鳴る心臓を押さえて、耳を澄ます

そして




「旧姓は、藍原悠理です」




そう言った





その瞬間、あの日の光景がフラッシュバックする


床一面に広がったハガキ

小さなそれに埋め尽くされた感謝の文字


太陽みたいな存在だと言った主任の横顔

今にも消えてしまいそうな、主任の声




――〝運命の相手には、他に運命の相手がいた″――




カチカチと頭の中で、パズルのピースが埋まっていく

大西主任が落としていった、パズルのカケラを繋ぎ合わせてできたものは



もしかして―――