太陽と月




「ぱぁぱー!!!」




舌ったらずな2つの声が重なって、バタバタと足音が聞こえた

はっと下を向くと、小さな2つの影が一直線に裏口に向かった




「はる。ゆう」




すると、見た事もない様な優しい微笑みと共に星野支配人が言葉を落とす

そして、足元にピタリとくっついた2人の頭を優しく撫でた



え?

え?



困惑する私を余所に、カツカツとヒールの音と共に先程の綺麗な女性が星野支配人の元に歩み寄る

そして




「ゴメンね。ついてくるって、きかなくて」

「構わない」

「みんな事務所にいる?」

「いるだろ」

「そっか。差し入れ持ってきたから、みんなで食べて」

「あぁ」



なんともスムーズな会話が目の前で繰り広げられる

その様子を見て、1つの結論に至った




「あの~…」

「――ん?」



いつの間にか私の隣に並んでいた大西主任に小声で問いかける

すると、一瞬の間を置いてから、大西主任が前を向いたまま私に耳を傾ける




「星野、悠理さんって...もしかして」

「あぁ―――星野支配人の、お嫁さん」



ボソボソと聞いた私の質問にサラッと応えた主任

少し屈めていた体を元に戻して、再び前を見つめた