私の言葉を聞いて、再びフリーズした様に固まった莉奈さん

微かに微笑みながら、前のめりになった体を元に戻していった




「莉奈さん?」



さっきまでの勢いはどこへやら

ゆっくりとグラスを引き寄せて、静かにストローに口を付けた莉奈さん



ザワザワと辺りが騒がしい

それでも、時間を忘れた様に何かを言いだしそうな莉奈さんの言葉を待った

そして




「花音..さ」



コトンとテーブルにアイスコーヒーを置いた莉奈さんが、伏し目がちに私の名前を呼んだ



「ん?」

「私は花音には幸せになってもらいたいから、今から言う事を言うね」

「うん?」



決して私と目を合わせないで、そう言う莉奈さん

何かを迷っている様に、ただじっと一点を見つめて動かない



それから再び沈黙が訪れたけど、意を決したように莉奈さんが残りのアイスコーヒーを勢いよく飲み干す

まるでビールのジョッキを仰ぐようだと思いながらも、その様子を見つめる

そして、やっと目の合った莉奈さんがゆっくりと口を開いた





「大西の事は、諦めなよ」