太陽と月



私を連れ出してやってきたのは、会社のすぐ近くにあったカフェ

お昼時を過ぎていたからか、お客さんの数は少なかった



慣れた様子で店内へと入っていた莉奈さんが私にメニューを渡して、何でも食べな。と何とも大人な発言をした

そのお言葉に甘えて、お腹ペコペコだった私は、オムライスの大盛りを頼んだ





「仕事はどう? 楽しい?」



ムシャムシャとスプーンを止める事なく口に運ぶ私を、アイスコーヒーを飲みながら楽しそうに問いかける莉奈さん

その言葉に、口の中にあったものを飲み込んで、大きく頷いた



「とっても楽しい! 大変な事もあるけど、それ以上に楽しい!」

「そっか。環境にも慣れた?」

「うん! みんなとっても良くしてくれるの」



会社の中では遠慮して敬語を使っていたけど、普段の私と莉奈さんはこんな感じ

本当のお姉ちゃんができたみたいで、嬉しくて堪らない



ニッコリと笑って、頷いた後

再びご飯に向かう私を見て、莉奈さんが意味ありげに笑いながら、頬杖をついた

その様子を視界の端でとらえて、モグモグと口を動かしながら顔を上げた

すると




「花音、あんた今恋してるでしょ」




悪戯っ子の様な顔して、そう言った