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恋の花が芽吹いてから、一週間が過ぎた
あの雷事件の後いい機会だからと、みんなで事務所の大掃除をしたり、警備設備の点検などにバタバタと忙しかった
そんな中でも、無意識に大西主任の姿を追ってしまう自分がいた
その姿が目に入るだけで、胸が高鳴る
今まで何も気にせず話せたのに、今では変に意識してしまって、妙にテンションが上がって言葉に詰まってしまった事もあった
それでも、いつもの様な主任の笑顔を見ると
それだけで、とても幸せな気持ちになった
「瀬川」
「はっ、はい」
名前を呼ばれてビシッと背筋を伸ばした私を見て、微かに首を傾げる主任
大きな瞳で私を見つめてから、視線を腕に向ける
「手、大丈夫?」
そう言って、いつも心配してくれる主任
さりげないその優しさが、嬉しくて嬉しくて
笑顔が零れる
大西主任の太陽みたいな笑顔を受けて
私の恋の花はどんどん大きくなっていった



