振り向かずに立ち止まる。
「何?」
もうすぐ卒業する。
そしたらもう会わない。県外に出るし、地元に帰ることはないだろう。
だから、もう。
さよなら、なんだよ。こうちゃん。
「なんでそんな態度なんだよ。」
「別にあたしがどんな態度でも、奥井君には関係ないでしょ。」
「あるよ。なんかムカつく。」
近寄ってくる彼の体温を感じる。
実里より首一つ大きい康太。
あの日、掴まれた腕がジンジンする。
「好きだって言っただろ、あん時。」
「…もう随分前だもん。気持ちは変わるから。離して。」
ぎゅう、っと後ろから抱きしめられて声が震える。
「じゃあなんでこんなにドキドキしてんだよ。」
「…めっ、免疫ないから仕方ないじゃん!」
くくくっ、と笑う康太の声に胸がキュンとする。
「ちいさいな、ミノリ。こんな小さい手であんな凄いことすんだなぁ。」
…凄いこと?
あぁ、ピアノか。
「あんたのピアノ、聞くの好きだった。
イメージが湧いてきていい写真が撮れるから…」
ピアノが、なんだね。
ピアノが好きなんであって、あたしは付録。
「卒業したら、どうすんの?」
「奥井君には関係ないよ。」
そっけなく答えるので精一杯だ。
「何?」
もうすぐ卒業する。
そしたらもう会わない。県外に出るし、地元に帰ることはないだろう。
だから、もう。
さよなら、なんだよ。こうちゃん。
「なんでそんな態度なんだよ。」
「別にあたしがどんな態度でも、奥井君には関係ないでしょ。」
「あるよ。なんかムカつく。」
近寄ってくる彼の体温を感じる。
実里より首一つ大きい康太。
あの日、掴まれた腕がジンジンする。
「好きだって言っただろ、あん時。」
「…もう随分前だもん。気持ちは変わるから。離して。」
ぎゅう、っと後ろから抱きしめられて声が震える。
「じゃあなんでこんなにドキドキしてんだよ。」
「…めっ、免疫ないから仕方ないじゃん!」
くくくっ、と笑う康太の声に胸がキュンとする。
「ちいさいな、ミノリ。こんな小さい手であんな凄いことすんだなぁ。」
…凄いこと?
あぁ、ピアノか。
「あんたのピアノ、聞くの好きだった。
イメージが湧いてきていい写真が撮れるから…」
ピアノが、なんだね。
ピアノが好きなんであって、あたしは付録。
「卒業したら、どうすんの?」
「奥井君には関係ないよ。」
そっけなく答えるので精一杯だ。