わたしが真衣で居られる最後の日。
「那由太、おはよう。」
那由太さんを那由太と呼べる最後の日。

「真衣!待ってたよ!」
那由太さんに笑顔を向けてもらえるのは
本当に、本当に今日で最後になる。

そして最後に那由太さんは
こんなにも嬉しい言葉を言ってくれた。

「真衣…、事故の後の真衣は、
事故の前の真衣より魅力的だった。」

それだけで、全てがどうでもよくなった。
もう一生那由太さんの傍で笑えなくても
もう一生那由太さんを見られなくても
その言葉だけでわたしは充分だった。

わたしがこれまで生きて来た意味を、
全部肯定してもらったかのように思えた。

泣くほど嬉しかった。