そう言えば…芹沢が海外に行ってから戻ってくるまで、何一つ知らないな。

「何があったか、聞いてほしいですか?」

「何があったか知りたいの?」

違う。
俺はお前なんか興味ない。

知りたい訳じゃない。
ただ…

「ただ、上司として知っておく必要があると思ったので…」

「…じゃあ、どうしてあの日、泣きながらオレにキスしたんだよ。

キスする必要があったから?」

「…なんの、事で「佐藤がオレの家に泊まったときだよ!」

…起きて、たのか。
じゃあ、あの独り言も聞いて…

「…もういい、ごめん。」

なんで、佐藤が謝るんだよ。
どうしてそんなに、優しいんだよ。

「オレ、アメリカの医学部に入って勉強したんだ。

最初は日本人のクセにって言われてたけど、勉強して見返した。

気分が良かったよ、オレを馬鹿にした連中が驚く顔は見ものだった。

そしてオレはそのまま、向こうで医者になった。」

順調な人生じゃないか。
その頃俺は日本で…!