段々、自分の行為の意味を頭が理解し始める。 「…ッ!」 俺は勢い良く芹沢から離れると、唇をスーツの袖で擦った。 「え…? トモキ?」 ドクンッ また、あの衝動に駆られそうになる。 俺は心臓部分を強く握りしめた。 スーツにしわができる。 「すみません… 少し酔ったようです、私はこれで…」 「ちょっと待ってよ!」 「失礼します。」 俺は、なんてことを…! らしくもない、我を失うなんて。 …そうだ、これは酒のせいだ。 ちょっと酔ったから。 酔ったから。 なにに? …名前を呼ぶ声に。