今のは、何だ?
頭にカッと血が上る。
まるで、彼氏の部活を見に来た彼女みたいな雰囲気だった。
今のは、何だ?
付き合うことになったのか?
いや、それはないだろう。
そんなことになったら、既に噂されているはずだ。
グラウンドでは、絶妙なタイミングで練習試合が始まる。
さっきの男は華麗にボールをさばき、ゲームをリードする。
足にボールが吸いつくようなドリブルは、嫌ってくらいに実力を語っている。
間違いない、奴がエースだ。
杏奈に告白した男だ。
そして杏奈は、そいつのプレーを、見ている。
フェンスにかじりつくように指をかけ、食い入るように。
うっとりしているように見えたのは、フィルターをかけた俺の目が見せた幻であってくれ。



