下宿生4人と、私と母が…食卓を囲む。
大ぐらいの男衆が、おかわりする度に…
母は、嬉しそうに席を立って。
これでもかって言うくらいに、ご飯を山盛りに盛って…
両手を添えて、茶碗を手渡す。
「……あ、そうだ。おばさん、昨日話した件だけど…。」
もくもくとご飯を食べていた倉橋くんが、突然、思い出したかのようにして…
話の口火を切った。
「今週末から大丈夫かって聞かれたんスけど……。」
「うちはいつでも構わないけど…、親御さんに一度来ていただかないと。」
「……ん~…、分かりました。きいてみます。」
…………?
「倉橋くん、なんの話?」
「ああ、ゆなにまだ言ってなかったね。」
彼にかわって…、母が話を続ける。
「リフォームして、部屋を増やしたじゃない?」
「…ウン。」
お陰で、私の部屋が……狭くなった。
「来年の3月に新入の子対象に募集かけるまで、空き部屋でいいかって思ってたんだけど…、今在校の子が、倉橋くんを通して急遽入居したいって。」
「……ふーん。途中からだなんて、珍しいね。……で?」
「聞けば3年生だって言うし、色々事情もありそうだから、みんなさえよければ受け入れようかと……。」
「……。いつも勝手に決めてるじゃん。」
「うん、まあ…そうなんだけど、倉橋くんに、ゆなも受験生だし、環境の変化を考えたら…。
」
「………。私は毎年のことだし、構わないけど…?倉橋くんは?」
「俺は紹介した側だし、何より…ダチだし、力になれればって。」
「……そう。なら…心配ないか。その子の都合のいい日、倉橋くん聞いてくれる?」
「はい、わかりました。」
「それから…、ゆな。アンタの隣りの部屋だからね。物置じゃないんだから…、荷物、片しておきなさい。」
「……。めんどくさ………」
「今何か?」
「いえ……何でもございません。」
この時期に…
新しい人かあ……。
しかも……隣りの部屋。
倉橋くんみたいに、いい人だといいけど……。
「………。ねえ、倉橋くん。その人…、どんな人?」
気になっていたのか、下宿生の一人、2年生の高崎くんが…話題に食いついて来る。
「一言で言えば…マイペース。心配ないよ、他人に干渉してくるようなタイプじゃないし。」
それは私も…助かるなあ。
ちょうど良い距離感を保つからこそ、共同生活は…成り立つのだ。
この均衡を崩されては…困る。
「困るとすれば、きんくらいじゃない?」
「……は……?」
「………。なーんて、ね。むしろお前だから、大丈夫だろ。人類みなお友達~…って感じだもんな。」
「…………。なんか…、聞こえいいようで、ただの馬鹿と言われているような…?」
「まあ、まだどうなるかわかんないけど、仲良くしてやってくれ。」
「………?はいは~い。」
楽しみなような、複雑なような……?
とにもかくにも、ここ、金築家は……
ますます賑やかになりそうだなあ…?


