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「あ、あたしが・・・呼んだの」



圭介がこの場にいる理由がようやく分かったのは、歌を聞かれてから約30分は過ぎた時だった。



「どうして呼んだの?」


「それは。その・・・やっぱり二人が一緒にいないのが変っていうか。あたしも気持ち悪くて・・・。それで」





圭介が好きで、でも圭介は立花が好きで。

自分には入る隙もないと言っていた高橋。



なのに、俺と圭介の仲をもう一度戻そうと働いてくれたのだろう。


高橋らしくないおどおどとした態度。

圭介はその間もむっすりとしながら俺の反対側のソファに座っている。






「ありがとう。高橋も・・・。それに圭介も来てくれて」


「は?俺感謝されるようなことしてねぇから」


「ちょっと小沢君そんな言い方っ」


「高橋が言うから来てやったんだよ。勘違いすんな」




圭介の言葉に少しだけ嬉しそうな高橋。

でもすぐに「小沢君っ・・・!」と反論していた。




「いいんだよ高橋。・・・それで、どうだった?俺の本気度は」


「・・・全然。伝わんねぇ」



そう否定する圭介だけど、長く一緒にいた俺には分かる。


圭介は認めてくれていた。

俺が本当に本気だということを。



それは癖が教えてくれている。


嘘をついた時に出る癖。

圭介は気付いていないけど、嘘をついている時は耳たぶをしきりに触るのだ。