「まぁ!今回の俺は本気だったって事で!・・・久しぶりに恋って感じだったわ」


「もうおしまいか?お前の・・・恋」


「あ?何言ってんだよ!当たり前だろ。翔太の彼女を奪うなんて趣味俺にはねぇよ笑」


「・・・ありがとう」


「何お礼言ってんだよ!かゆいかゆい!・・・そのかわり、翔太が立花ちゃんを泣かせたら即奪うから覚悟しとけよ?」


「立花は、俺が・・・幸せにしてみせる」


「言ったな?楽しみにしてるよ」



そう言って笑いながら圭介は教室を出ていった。


俺とは正反対にすがすがしい顔で。





「・・・幸せにしてみせる、か」



これから俺は立花を幸せにする事はない。

好きじゃないのに恋人になるのはやっぱりおかしいことなのだろうか。



不幸せにするために付き合うことは罪なのだろうか。




「考えすぎだな」


さやかの事を忘れて幸せになってはいけない。


さやかの事を忘れなくても幸せになってはいけない。




俺が幸せになる事は必然的に禁じられている。




「嘘ついてごめんな」


誰に言うわけでもなく俺はそう呟いた。