俺は目を閉じて、圭介からの制裁を待った。


けど思っていたものとは全く違っていた。




ぽすっと軽いパンチが俺の胸に当たっただけ。


「・・・え?」


「これでチャラ。あとは立花ちゃんを幸せにしてやれ」



圭介からは出なさそうな言葉までも、俺は突きつけられた。


「なんとなくさ、思ってたんだよ。頭の中で。翔太と立花ちゃんがくっついた方がいいんじゃないかって」




俺達は高橋と立花には購買に買い忘れた物があると言って、屋上を出た。


そして誰もいない教室に入って圭介の思いを聞く。




初めてだった。


圭介の本当の気持ちを聞く事も。

俺が圭介に嘘をつくのも。






「立花ちゃんと翔太がツーショットでいる時もさ、すげぇお似合いだなって心の中で思ってたんだよね俺」


「そんな風に感じなかったけどな。お前どんどん立花に迫ってたし」


「焦ってたのかもしれない。柄にもなく笑」


「ホント、今回柄じゃないな」


「だろ?・・・まぁ、そんだけ立花ちゃんを好きだったんだと思う」


「どこが好きだったんだよ」


「最初は謎な子だから気になって、よく見たら顔可愛いし。でも一緒にいるうちにすっごくいい子なんだって実感したよ。喋ってはくれないけど、ちゃんと俺の目を見てくれるんだぜ?」


「・・・」


「たまに立花ちゃんの瞳に吸い込まれそうになってさ・・・。それがちょっとだけ怖くて。・・・一旦俺ら屋上集まらなくなったろ?あの時本当は助かったんだよね」


「立花の隣の席になったってのにあまり喋ってる様子なかったのはそれが理由か。なんで言わないんだよそういう事」


「言えるわけねぇだろ。こんな・・・初めての事なんかさ」