「あっ・・・橘君これは・・・」


「ち、違うんだよ!あたしたちは!!・・・えっと」


「ちょっと!言い訳ぐらいすぐ浮かばないの!?」


「それ言っちゃ駄目でしょ!」




立花を囲んだ女子生徒がごちゃごちゃと何か言っている。


見た限り俺のクラスメイトではないようだ。




「俺と立花の視界から今すぐ消えてくれ。反論は聞かない。早く」


一息でそう言い切ると、しぶしぶ女子生徒たちはどこかへ行ってしまった。






「・・・立花。大丈夫か?」


少し息を大きく吸い込んでから立花に話しかけてみる。


立花はその場に座ったまま、うつむいた。



「おい、立花?」


「・・・助けて、なんて。言ってない」



小さな、でも聞こえる程度の言葉が聞こえた。



俺はその言葉に何も言えず、ただ立花を見て立ちつくした。


高橋にも圭介とも未だ喋らない立花はどうして俺には喋ってくれるんだろう。



俺の事嫌いになったんじゃないのか?
そんなことは聞けるはずもなく・・・。


黙ってその場から立ち去ろうとした時。


立花は慌てて立ち上がり、俺の腕を掴みこう言った。



「橘君。私の事、嫌い?」



彼女の言葉があまりにもか細く、今すぐに抱きしめないと壊れてしまいそうにも思えた。