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-3年前-



中学二年生。

春。



「翔太おまたせ」


「早くしろよ」



いつまでたっても消えない傷。


俺の罪。




「あっ!あたし手作りのクッキー焼いてきたの!食べて!」


「俺甘いの苦手。いらね」


「ちょっ・・・!ゴミ箱入れようとするなんて相変わらず翔太はひどいなぁ」




可愛くラッピングしてある袋を俺はゴミ箱に捨てようとしたが、目の前の女に止められた。


笑顔が可愛くて、優しくて、誰よりも俺の事を好いてくれていた。


名前は萩本さやか-ハギモトサヤカ-。




俺は過去の恋愛が原因で、自分に言い寄ってくる女が一番嫌いだった。


もちろん俺が歌さえ上手ければアイツは離れていかなかったんだろうけど。


どうせ自分が好きになったって相手が好きになってくれる保証はない。



それを分かっていない言い寄ってくる女どもは本当に嫌いだった。





「さっさと行くぞ」


「あっうん!」



そんな俺から離れていく女たちの中で、さやかだけは離れていかなかった。


どんなにひどく当たってもいつも笑顔だった。