カーテンから覗く太陽の日差しが重たい瞼を照らす。


鳴りやまない目覚まし時計とのダブルパンチで俺は重い腰をあげた。




「翔ちゃんおはよう」


「おはよ」


「ご飯出来てるからね」




階段を下りるといつもの母さんの笑顔が見えた。

そして、いつもの出かける用の服だ。


それを横目で見た後
冷蔵庫の中に入っている牛乳を取りだした。


「じゃあ出かけてくるわね」


自分用のコップに牛乳を注いでいると、後ろから母さんの軽やかな声が聞こえた。


俺はそれに答えずに朝食が用意されているところに座る。

時計を確認するとまだ学校に行くには早すぎる時間だ。


ゆっくりと食パンにかじりつく。
ふわっとバターの香りが口の中に広がった。


「今日も起きるの早いんだな翔太」


「・・・父さんこそ、まだ仕事行ってなかったんだ?」


口の中の食パンを飲み込んで父さんにそう答えた。


「ああ。忘れ物をしてしまってな」


「ふぅん」


「そういえばあいつさっき変わった服を着て出て行ったが・・・どこに行くか聞いたか?」


「母さんのこと?さぁ、俺は知らないよ」


「そうか。あ、今日仕事で帰り遅くなるから言っておいてくれ。じゃあいってくるよ」




俺は片方にコップを持ち、開いた手でひらひらと手を振った。




仕事人間の父親と
浮気人間の母親と
そんな家族に慣れてしまった俺。





「いつも通りの朝だ」



俺はそう呟いて、朝食を半分ほど残して学校へ行く支度をした。