「好きなの・・・。翔太君」




立花の声が戻ってきた。

まだ、俺の事を想ってくれていた。




そんなことを考える暇もなく、俺は立花を抱きしめていた。

抱きしめた立花の手からトロフィーと賞状が落ちる。



頭で考えるよりも体は正直だ。


ついさっきまでこの場から逃げ出したいと、立花への想いはキリをつけたつもりだと思っていた自分はどこかへ飛んでいき、今の俺にはただ目の前にいる愛しい人を抱きしめなければの一択しかなかったのだ。




「翔太・・・君・・・っ」


まだかすれて、小さな声の立花。


だけど喋っている。

間違いなく俺の腕の中で立花が。




「・・・ごめ・・・ん。好き・・・なの。ごめん・・・ね?」




立花も俺の背中に手を回し、俺をしっかりと抱きしめてきた。


どれほどこのぬくもりを手にしたかった事だろう。




俺らはどんなに遠回りをしたのだろう。





「俺も、好きだ」