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「わぁ!!雪だよママ!!」


「本当!初雪ね」


「えへへ!!パパに教えなきゃ!!早く帰ろう!!」


「ちょっとあまり走っちゃ駄目よ!!」




通りすがりの親子に目を向けると、幼い頃の自分と重なった。


今頃父さんと母さんはどうしているんだろう。

俺なんか気にせずに離婚をしたのだろうか。




「本番は明日か」


時が過ぎるのはとても早い。



"さやか"のメールを受け取ってからオーディションに合格した。

メンタル的に弱かった俺を支えてくれたから、合格できたんだと思う。


それにはすごく感謝はしている。


でも俺は、あのメールの通りに立花と幸せになるつもりはない。




もう立花へのあふれる思いはあのノートと一緒にゴミ箱へ捨ててきたから。





「・・・馬鹿野郎。幸せにするのは俺じゃなくて、お前なのに」

一人ぼそっと呟き、粉雪が舞う中を歩く。