そりゃあ今となっては、あたしなんかよりも橘君の方が歌が上手くなっていってる。


あんなにも聞くに堪えない歌を歌っていた橘君。

微量ながらもあたしが力になれたと思ってもいいのかな。



そうだったらすごく嬉しい。



「・・・はぁ、はぁ」


色んな思いを抱きながら、いつものカラオケ店に着いた。

あたしは受付の人に橘君の事を聞いてみたけど、今日はきていないと言われてしまった。



ここのところ、このお店に出入りしていたから定員さんも顔を覚えていてくれたらしい。


すぐに答えてくれた。



「そうですか・・・。分かりました。ありがとうございます」


希望とは反対の言葉を言われ、あたしはあっという間に橘君への手掛かりを失くしてしまう。




それから次の日、次の日と時間だけが無情にも過ぎていった。



相変わらず小沢君は橘君を探している様子はない。

前、仲直りというか・・・。
よく分からないけど、仲は元に戻ったと思っていたけどそうじゃないのかな。


友達って親友ってそんなものなのかな。


でもそんなある日。




「高橋」


学校の昼休みに小沢君に話しかけられた。


「何?」


「ちょっと桔梗には話せねぇから学校で話してぇなと思って。ちょっと来い」


「う、うん」