【完】君に贈る歌




明日がオーディションだと分かっていながらも進んでいなかった歌詞製作が、こんなにもあっけなく終わってしまうとは思わなかった。


「・・・練習して、あとはオーディションを迎えればいい」


その日俺は何度も自分の歌を歌った。

たびたび歌詞は変わったが、どれも歌にしっくりくる。




だけどやはり最後のフレーズだけは浮かばなかった。


でも俺の心は晴れやかだ。


俺の罪は消えたわけじゃない。

けれど、何かから解放された気がした。



さっきまでの辛く苦しかった自分が嘘のようにのびのびと歌う事ができる。






今までとは本当に何かが違う。


俺はいつの間にか笑顔で自分の曲を歌っていた。