「何でこんなことに…」


 はぁ…とため息を吐いた。

 タクシーの中、俺の隣に座るのは藍架。

 このバカ、イッキ飲みしやがって…。

 おかげで俺が送ることになっちまった。


「着きましたよ」


 その声と共に、扉が開く。

 まるで、さっさと出ていけとでも言うように。

 って考える俺はひねくれてるか。

 俺は自分より重い(デカいんじゃねぇからな?)藍架をおぶった。

 タクシー代はありえねぇくらい高い。

 何でコイツ、こんな遠くからうちに通ってんだか…。

 ―ピーンポーン

 普通より少し大きな家。

 ここに来たのは、2回目か。


『はい?』

「すいません、小坂と申します。
 藍架さんを連れてきました」

『どうぞ、今開けますね』


 数秒後、藍架の母ちゃんが出てきた。