大和くんが耳元で呟く。
春樹の目が、もっと厳しくなった気がした。
「うん。えっと…こっちは、浦川 春樹。
バンドのメンバーで、ベースやってるの。
で、こっちは蕪木 大和くん。
1コ上で、ストリートミュージシャン」
不機嫌そうに、眉間に皺を寄せる春樹。
いつも愛想いいのに…。
大和くんって、嫌いなタイプじゃないと思うんだけど。
むしろ性格合ってる気がするし…。
「よろしくね」
「…帰るぞ」
「え、ちょっと…春樹?!」
手を差し出した大和くんを無視して、あたしの手を握る。
手を握る春樹の力が、強い。
痛い。
「ごめ、大和くん!その…」
「わかった!またね!」
Melody heartは、大和くんが預かってくれる…みたい。
「ねぇ春樹!ねぇ…!
あたしの家、こっちじゃないよ」
「…」


