ぼくらのうた




 震える指先に力を込めて、最後まで弾いた。

 はぁ…やば、も…

 ―パチパチッ!!


「へ…??」


 大和くんが拍手をして、それからたくさんの人が拍手をしてくれる。

 目、瞑ってたから…こんなに集まってくれてるなんて、わかんなかった。

 あたし…1人で、歌えたんだ。


「すげーッ!めっちゃいい声だった!」

「うんうん!それに、すっごい共感出来る!」

「恋してるときって、ずっとその人のこと考えて、目で追っちゃうよねぇ♪」

「…っ」


 あたしの歌を聴いて、笑ってくれる人がいる。

 それがすっごく嬉しくって…。


「ふっ、う…ん」

「え?!何で泣くのー?!」

「大丈夫?!」


 思わず溢れた涙を心配してくれる人たち。

 言葉に出来ないよー…!

 そんなあたしを見て、大和くんが言ってくれた。


「この子、今日が初ライブなんです。
 人集まるかな、ってすごい不安がってたから…」

「ん…、ひっく…」

「そうなのー?
 もっと自信持ちなってぇ!」

「ぁ、ありがとうございますッ!!」


 涙止まんないよーッ!!

 すぐにお客さんの声が聞こえるからかな?

 いつもよりもっと、感動する。

 だってこのうたは…あたしが作ったんだもん。

 作詞も、作曲も…

 苦労した甲斐が、あった…っ。


「アンコール聴きたぁい!」

「俺もー!」

「私も!!」

「ありがとうございますッ!!
 …聴いて下さい、『Crimson days』」