「だから、慶樹くんの気持ちには応えられない。ごめ……」
「知ってる、分かってるよ。そのぐらい。でも、すげぇ好きなんだよ。」
俯き加減に少し笑った慶樹くんになぜか胸が高鳴った。
恋愛経験豊富で男なんかに動揺して
ドキッ、なんて胸がキュンキュンするなんて今まで一度だってなかった。
だけど、今
すごく胸が苦しくなった。
それは辛いとかじゃないの。
何だろこの感じ……
「今までさ、女の子なんて近くにいれば誰でもよかった。でも、今は隣にいて欲しいって思うの理沙ちゃんだけなんだよね。」
慶樹くんはいつもそうだ。
慶樹くんは人懐っこく可愛い顔してる。
でも、そのくせカッコよくて…
周りの女子たちが落ちるのもわかるよ。
でも、あたしはそんなのにコロっと落ちるような女じゃない。
そう心で思っているのに、まだ胸はドキドキと高鳴り続ける。

