ドキッとした。
だけど、その声には聞き覚えがある。
そっと自動販売機から顔を覗かせると
慶樹くんがソファーでジュースを飲んでいた。
「……慶樹くん?…どうして」
どうしてって慶樹くんが男子の階でジュース飲んでいようが関係ないよね。
男子の階にいるあたしの方がおかしいよね…
なんて、一人で思っていると
慶樹くんはゆっくり口を開いた。
「……やっぱり、そうだったんだ。」
俯いて言う、慶樹くん。
やっぱりそうだった?
何が?
……と、聞き返そうとしたとき
手前の部屋から先生たちの声がして扉が開いた。
どうしようなんて、考えている暇もなく
あたしは慶樹くんの手を引いて階段を駆け上がった。

