「……零士…くん。」
「だから、ごめん。その日は譲ってもらえる?」
零士くんはニコッと微笑んでそう言った。
「あ、うん…わかった。」
そのとき丁度チャイムが鳴り授業が始まった。
「最後に…俺のわがまま聞いてくれる?」
席に座ると隣の零士くんはコソッと小さな声で言う。
「…でも、零士くんはいいの?……こんなあたしで……」
クリスマスの約束を破ったのはあたしなのに。
それにもう、付き合ってるわけじゃない。
零士くんならクリスマスに過ごす相手もっといたはずだ。
神矢くんに会いたくない理由で零士くんを振りまわしたくない。
でも、零士くんは……
「俺は芽衣ちゃんがいい。最後に付き合ってよ。」
なんて微笑まれたら、首を縦に振っていた。

