「キャー!亜里沙に何すんのよっ!!」
叩いた反動で倒れ込む宮本さんの周りに女子たちが駆け寄る。
自分が仕出かしたことに気づいたあたしは青ざめた。
でも、後悔なんてしてない。
「……っ、あんたっやってくれたわね!?」
起き上がった宮本さんはそうやってまたあたしに詰め寄る。
「神矢くんのこと、何も知らないくせに…悪口ばっかり言わないで!!」
強気で睨み付けてみせると、宮本さんは怪訝な顔をした。
「聖のこと、何も知らない?知らないのはそっちでしょ?あんたもどーせ聖と寝たんでしょ?」
「……っ、神矢くんはあたしにそんなことしない!!神矢くんはあたしの嫌がるコトなんてしないっ!」
すると、宮本さんたち女子は笑い出した。
「何?手ぇ出されないからってあんた、それで聖の特別にでもなったとでも思ってんの!?」
「……そ、そんなこと思ってなんか…」
「思ってんでしょ。言っとくけど、あんたは聖の特別でも何でもないから。勘違いしないでよね!?」
あたしは神矢くんの何なんだろ……
同居しているあたしだけがみんなの知らない神矢くんを知っていて勝手に浮かれてたの?
神矢くんの優しさに触れて、あたしだけが特別なんじゃないかって自惚れてた?
宮本さんの言う通りだ。
あたしはどこかで神矢くんの特別になりたかったんだ。
他の女の子と扱いが違うからって、あたしは神矢くんの特別だと思って……

