「それって好きってことじゃねぇの?」
慶樹はフェンスからもたれるのをやめ、オレの目の前に立ちそう言った。
「は?それが好きってことにはならねぇだろ。」
「でも……芽衣ちゃんなら信じれるんだろ?」
『あたしは裏切らないよ。』
あの花火大会の夜、アイツが言ってくれた言葉。
「ああ、芽衣なら信じようと思えた。でもな、アイツは零士のことが好きなんだとよ。選りに選ってな。」
零士、という名前を出した途端
慶樹の顔色が変わるのがわかった。
「芽衣ちゃん…零士のことを?」
「ああ。…オレがただ憎んでるだけだしよ、ほっといてやろうと思って。」
「聖は…それでいいのかよ。零士のヤツ、お前に何したか覚えてんのかよっ!」
慶樹は感傷的になってフェンスを蹴った。

