「あの男……芽衣の写真の人じゃない?名前何だっけ……って、芽衣?」


「か、かっこいい……」


サラサラな黒髪。
長い脚。
整った顔立ち。


「ちょ、芽衣も周りの女と一緒じゃない!」



「なっ!違うもん!!あたしはちゃんと白馬の王子様が好きだもん!!」



「ふ〜ん。どうして好きになったのよ?」


羨ましいぐらい長い脚を組んで理沙はあたしの顔を覗いた。


「それはね────……」






遡ること、ちょうど一年前────



入学式当日の日。


遅刻しそうになっていたあたしは走っていた。


何でこんな日に寝坊したの〜!!


髪の毛もボッサボサ。
化粧なんて、リップとチークだけで……



ブレザーも急いで羽織ったものだからぐちゃぐちゃでシワがいってしまって…


高校生活初日からなんでこうなるのよー!!


そう、坂道をダッシュしていると……
目の前にある石につまずいて


まさかのおむすびころりん状態で坂を転がり平らな地面についた頃には戦時の子供みたいな格好になっていた。