「……か、神矢くん…?」
抱きしめられていて神矢くんの表情がわからない。
どうしたんだろ…。
ただ、一つわかることは
あたしの鼓動が早く波打つこと。
ねぇ、やっぱり神矢くんは誰にもこういうことしてるの……?
他の女の子にも、さっきの先輩にも……あたしにも?
だったら……
「神矢くん…は、離れてよ…」
好きだからとか、そういうのじゃなくてもっと別のもの。
ただ、単純に嫌だと思ってしまう。
なのに……
神矢くんは抱きしめる力をもっと強くした。
「……もうちょっとこのままで我慢しろ」
いつもより切なく掠れた声だった。
神矢くん……
今、どんな顔してる?

