「ここ、座れ。」
そう言った神矢くんは丸椅子にあたしを座らせた。
「あ、あの…神矢、く」
「突き指とかだせーなお前。どうせぼーっとしてたんだろうが」
神矢くんにまで見透かされてるよ。
神矢くんは湿布を丁寧にあたしの指に貼った。
「あ、の……」
「なに、芽衣も襲われたい?」
椅子に座ったあたし。
神矢くんは下から覗くように上目遣いであたしを見つめた。
「……へっ?な、何言って…」
その視線に耐えられず目を伏せる。
「お前ってタイミングいいよな。ったく。」
苦笑して神矢くんは言った。
「……さ、さっきの人…先輩、?」
「んーそう。他の女と違ってモノわかりいいんだよ。恋愛感情なんかねぇし。付き合ってとかいわれねぇし。まぁ、イイお友達なわけ」
と、にっこり笑った。

