視界を遮られたまま数秒が過ぎた時、事が起こった。 「……っ!」 唇に生温かく柔らかいものが当たった。 分かる、知ってるこれ。 数日前にもこの感触を、甘い感触を味わった。 これは、和穂の唇…? そんなこと考えてられなかった。 「……っ!?」 開いた口に入ってきたのは冷たい水。 入りきらない分はあたしの口元から零れていく。 どうすることも出来なくてコクンと、水を飲み込む。 そして喉を通った薬の感触。 飲んでしまった、薬を。