髪の毛は結んだ、スカートも綺麗。 確認をしていると、インターホンが鳴った。 ぎくり、と心臓が大きな音を出す。 コートを着て荷物を持って、必要な書類を確かめた。 今日が、最後のチャンスだ。 家を出ると椋太郎が寒そうに手を擦り合わせながら待っていた。 「おはよ」 「はよ」 緊張で顔がガチガチなのがわかったのか、笑う椋太郎。 「大丈夫だって。そんな顔すんな」 「……………うん」 ゆっくり、吸って、吐いた。 「ああああ緊張する」 足をばたつかせる。 「取り敢えず車入ろう」 「う、うん」