「どうしても?」 「仕事だよ?」 …そりゃあ、仕事なら……… ………やだ。 仕事でも、やだ。 「じゃ」 立ち去ろうとする椋太郎。 「ま、待って」 「仕事なんだってば。ここから駅なんてすぐだから華和ちゃんと帰って勉強しろ」 そんな冷たいこと言わないでもいいじゃんか… そそくさと店を出ていく椋太郎。 「ご、ごめんせっかくのデート!また今度ゆっくりしよ!」 あたしはそうやって言って立ち上がる。 店を出て、左右を見る。 車を停めたのは確か右の方… そう思って駆け出した。