教科書類しか入っていない、大翔くんのや怜南ちゃんのとは比べものにならないくらいに軽くて小さな鞄。 それをつかむと、私はいつもの場所に向かう。 すっかり寒くなったこの季節。 できれば暖房の効いた、暖かい図書室が良いのだけれど、利用者数がすごく少ないという理由で、放課後はいつも閉まっている。 だから、いつもはここ、昇降口に置いてあるベンチに座って待つ。