「…あの本読み終わったら、大翔、すごいピッチャーになるよ」 「…ありがとう」 私は無理矢理にでも、この気持ちを失くさなきゃいけないと思った。 好きな人の幸せを願いながら、好きな人への想いを失くす。 ……そんなこと、私にできるのかな… 自信なんかまったくないけれど、大翔くんとサツキちゃんを邪魔しないようにするには、こうしなきゃいけないんだと、私は私に何度も何度も言い聞かせた。