周りにも何人か生徒がいてそれぞれ喋っているのに、私の耳は、大翔くんとサツキちゃんの会話しかキャッチしてくれない。



「前本屋行ったときに見つけてさ、これは絶対に大翔読むべきだって思った!」


「なんかすごい分厚いから、読むの大変そう」


「だーっ! そういう風に捉えちゃダメだって! あの本の中に、いいことたくさん書いてあるんだから! 読み始めたらあっという間だってば」




大翔くんとサツキちゃんの間には、今日も笑顔に溢れていて。