「ほらっ! はやいよっ!」 「えー? そうかなぁ…」 大翔くんは照れくさそうに笑った。 「…ぼく、やきゅうせんしゅになるのが夢なんだ」 「そうなのっ!?」 「…う、うん…!」 大翔くんはまた、照れ笑いをした。 私は、“夢”なんて、考えたことがなくて、『野球選手になりたい』と言った大翔くんが、すごくかっこよく見えたんだ。 それと同時に、羨ましくて、眩しかった。