「あっ、お忙しい時間にごめんなさい!」


女の人は立ち上がると、お母さんに頭を下げた。




「いえ!」


お母さんはタオルで手を拭きながら、首を横に振った。





「あの、今日、隣に引っ越してきました、小崎と申します」


「まぁ。それはそれは…!」




確かに、ついこの前までは家のおとなりが工事でうるさかった。


そっか、おとなりさん引っ越してきたんだ。





「ご挨拶にあがりました。あの、これ…つまらないものですが…ほら、ヒロトくん!」



女の人はそう言うと、後ろを振り返って手招きした。