シーナは布団を被りながらうとうととしていた。

レンの話を聞いて、すぐに2人してテントに潜ったのだ。いつの間にか夜は耽り、寒さが倍増していた。

しかし、それに気づかず夢中になってレンの声に耳を傾けたせいか、その耳が寒さで痛くなっていた。



戻るか、と苦笑しながらそう言われ、今にいたる。

レンがもともと孤児だったとは薄々汲み取っていたシーナ。レンに感じる壁はそれでか、と思わずにはいられなかった。

他人とはあまり関わらないようにしていた癖が残っているのか、他人が踏み込めない領域があると感じていた彼女。

しかし、今夜の会話でその領域に少し踏み込めたような感触を得たようだ。




(レンさんには、親がいるはず。でも、捜索願いが出されていないってことは、捨てられたか、誘拐されて逃げたか……それか、魔物に拐われたのかもしれない。たぶん、レンさんは死んだと思われているのかな)




そんな彼について色々と考えていたせいか、目が冴えてしまったシーナ。眠気は当分やって来そうにない。

後ろから聞こえる寝息に耳をすましながら目を閉じてみる。そういえば、こうやって誰かと寝るのは久し振りかもしれない、とシーナは思った。



実は、今回の野宿は初めての野宿なのだ。いままで