『ギルシード』




レンの戦友。彼の出身地は先の戦争により大破。土地は血に染まり亡霊が徘徊するなどと噂され誰も近づく者はいなかった。

そんな中、彼は勘当されその地を離れていたため難を逃れた。しかし、彼は唯一の生き残りとなってしまった。そのことを知ったのはその地が滅んでからしばらく経った後だった。


彼はケルビンができてからしばらくは滞在していたが、ふとある日にいなくなった。手紙も何もなかったため、彼がどこに行ってしまったのかは誰にもわからなかった。

しかし、親友の男はぼそっと呟いた。


「あの人は、慣れないことをして疲れただけなんですよ」


彼はそれ以上は語らなかった。笑って首を振るばかりだった。


ギルシードの最期は正確にはわからなかったが、風の噂で亡くなったことだけは伝わって来た。それに国民は胸をいためたが、彼が築いた礎(いしずえ)はずっと遺そうと頷き合った。


その意志は後の『庭師』にも受け継がれ、開拓は続けられた。



推定享年46。