完全に不利だ。

この状況は絶対に不公平だ。



……なんで弾が無限にあるんだ向こうはっ!



『弾は節約するしかないだろう』

「そうですけど、それをわかってて向こうは遠距離攻撃ばかりしてくるんですよ!」

『それなら、必要なときに使えばいい話だ』

「全く参考になってません」

『俺だって銃は使ったことがない。やつもそうなのではないのか?だから練習も兼ねて撃ちまくっているんじゃないか?』

「ああ、なるほど……」



それに気づかなかった自分が悔しい。冷静にならなければ。

確かによく見たら乱れ撃ちばかりしている。僕を狙っているんだろうけど、全然定まっていない。


いくら僕の遺伝子を持っているとはいえ、初心者に変わりないはず。

それなら、接近戦に持ち掛けるしかなさそうだ。



僕は蛇行しながら徐々に詰め寄る。相手もそれに合わせて後ろに下がるがそれでは弾に勢いはなくなる。

コロコロと黒い弾は地面に落ちて、やがて消えていった。パーンッと銃声音が響くが僕のところまでの空気抵抗で威力が削がれている。


近づけば弾は当たり易くなるが、それは僕も同じこと。しかも僕の方が腕前は上手。距離を詰めるかどうか迷っているようだった。

それなら思いきって近づいてみればいいのに。

そうしないと、僕から近づくから。



僕は銃を構えて相手の肩を狙う。肩にはいろいろな筋があってそこを撃てば腕は使い物にならないはずだ。

でも、そう簡単にはさせてくれない。


気づかれたためサッと避けられてしまった。そして、銃は諦めたのか代わりにナイフをその手に持った。

僕が持っているのと同じ形のナイフ。


……それをまさか投げるのか?銃よりも難しいはず……


なんだけどなぁ。



『ナイフ投げの腕前は良いみたいだな』

「ああ……まさか、僕の銃の腕前が未熟だから向こうも扱えないとか……」

『ナーバスになる前にやつに集中しろ!』



無限にあるナイフが僕を襲う。肩を掠め髪を少し切りズボンを切り裂く。

なんだか、僕のナイフよりも切れ味抜群なのが気に食わない。それじゃあ僕のナイフがなまくら同然じゃないか。


……僕のキャラじゃないけど、むしゃくしゃしてきた。



僕も銃を納めナイフに持ち変える。しっくりくる感触。久々だ。

僕の方が腕前が上なことを知らしめてやるよ。