「じゃあ…。翔子は前田と一緒に…?」

「そうだ…。あと俺もな」

みんな口が開いたまま固まってる。
希ちゃんは少し笑った。
そして小さな声で言った。

「それなら良い…」

「えっ?」

「小太郎が無事ならそれで…」

「杉本先生…」

そしてせなはもう一つ聞いた。

「じゃあ何で母親に会わせたのですか?」

せなの質問にみんなは開いている口をもっと開けた。

「みんなアゴが外れるぞ」

せなが言うとみんなは一斉に口を閉じた。

「あんた達は本当に仲良いね」

希ちゃんは微笑みながら言った。
そしてせなを見た。

「それは全部通して話した方が良いと思う」

「どう言う事ですか?」

「小太郎が転入する時から説明した方がわかると思う」

希ちゃんは少し悲しい顔をした。
そして話を始めようとした瞬間。

「杉本さん、検査の時間ですよ」

そう言いながら病院の先生が入って来た。

「では今日の面会はここで終わりです」

先生はそう言って外に出て行った。

「どうするの希ちゃん?」

「また明日話すよ」

「それで良いの?」

「うん。明日は検査も無いしね」

「わかった…。じゃあみんな帰ろう」

私がそう言うとみんなは立ち上がった。

「んじゃあ今から食べよう!!」

「飛鳥ちゃんは何が言いたいの…」

「ケーキ食べたい!!」

「飛鳥らしいな…」

「雅木も久しぶりに食べたいでしょ?」

「…んまぁ」

飛鳥と雅木はイチャイチャしている。

「もう、周りの目を気にしてよ…」

「未来は嫉妬深いな」

「春樹に言われたくない」

「何だよそれ」

「だってそうじゃん」

未来と西山もイチャイチャしている。
そして私と麻奈とせなは苦笑いをしていた。

「あの4人は…」

「どうしようも無いよ」

「麻奈…。何か冷たいよ?」

「そう?」

「まぁそれが片桐だろ」

私達はこんな会話をしながら病室を出て行こうとした。
すると希ちゃんは私の手をつかんだ。

「どうしたの希ちゃん?」

「和田はちょっと待って」

希ちゃんがそう言うとみんなは黙って病室を出た。
未来はニコッと笑って私を見た。

「じゃあ後でね。近くのケーキ屋さんに居るから」

「了解…」

そしてあんなにうるさかった病室はすごく静かになった。