外に出ると潮の香りは一層強くなる。


そして、おだやかな波の音が鼓膜をくすぐった。


引きずられるようにして歩いて行くと、何か重たいシャッターが開くような音がして、あたしはその建物の中へ投げ飛ばされた。


「痛っ」


床はかたく、ひんやりとしている。


「電気をつけろ」


男の声が、誰かに命令している。


相手の人数は一体何人なんだろう。