もし、下手に抵抗しようものなら、何をしてくるかわからない。


そんな雰囲気が、目隠しをされた状態でもヒシヒシと伝わってくる。


車のドアが開いた瞬間、べたついた風があたしの髪をゆらした。


その風は潮の香りが含まれていて、あたしは咄嗟にここは海の近くだと理解した。


目が見えないぶん、他の感覚が研ぎ澄まされいるようだ。


「こい」


低い男の声がしたと同時に、拘束されている腕を引っ張られる。


あたしはその勢いで、転げるようにして車の外へと出た。